「サイバーセキュリティ認証試験」と言われても、何のことかわからない方も多いと思います。「情報セキュリティマネジメント試験」と呼ばれたりもしますが、IT関連の役立つ資格を探している方は要注目の試験です。
マルウェアやDDoS攻撃など、ハッカーによるサイバー攻撃は年々進化しており、企業側の対策も急務です。サイバーセキュリティ認証試験に合格することで、サイバーセキュリティに関する知識やスキルを具体的にアピールできるため、就職活動やキャリア形成に大きく役立つはずです。この記事では、サイバーセキュリティ認証試験の「おすすめトップ10」を詳しくご紹介します。
2024年におすすめのサイバーセキュリティ認証試験10選
1. CompTIA Security+認定資格試験
CompTIA Security+(コンプティア?セキュリティープラス)認定資格試験は、サイバーセキュリティの専門家を目指す方にとっての登竜門とも言える試験です。基本的な問題が多く出題されますが、プロとして独り立ちするために必要なスキルが一通り問われることとなります。
やや入門的な試験と言えるものの、会社や顧客に対して次の4つのスキルを保有していることを明確に示せるのが魅力です。
- 会社全体のサイバーセキュリティを把握?評価できること
- サイバーセキュリティ関係の法律と規制を理解していること
- マルウェア感染や不正アクセスなどのセキュリティインシデントに対応できること
- インターネット接続デバイス(モバイル端末など)およびクラウド環境を監視および保護できること
サイバーセキュリティの経験がまったくない方でも挑戦できますが、CompTIAはITセキュリティ関係の実務経験が2年以上あること、またはCompTIA Network+認証を取得していることを推奨される受験条件として掲げています。
費用:1?5万円程度(会員割引や学割あり)
2. ISACAサイバーセキュリティ基礎認定
ISACAサイバーセキュリティ基礎認定は、サイバーセキュリティの基礎的な仕組みに関する知識が問われる試験です。学生や新卒の社会人はもちろん、これからサイバーセキュリティを学びたい方に広くおすすめできます。比較的、安価に受験できるのも特徴の1つです。
ISACAは試験以外にもトレーニングコースを提供しており、いきなり挑戦する自信がない方はチェックしてみるとよいでしょう。内容をカスタマイズできるオンデマンドグループトレーニングもあるため、企業の従業員教育にも活用できます。
受験資格は特になく、「会社内アセットの保護方法」、「情報セキュリティの基本」、「セキュリティ脅威の評価」、「セキュリティの運用と対応」を主な内容としています。
費用:会員 160ドル(約23,000円)、非会員 220ドル(約32,000円)
3. GIAC認定試験(Cybersecurity and IT Essentials)
情報システムの分野で十分な実績を持っている方には、GIAC認定試験がおすすめです。GIAC認証を取得することで、情報セキュリティの知識を「単なる用語や概念以上」に理解し、ITシステムセキュリティの専門家として第一線で活躍できる証明ができます。
試験コースは様々ですが、サイバーセキュリティの試験はCybersecurity and IT Essentials(サイバーセキュリティとITエッセンシャル)と呼ばれています。知識に自信がある方はぜひ挑戦しておきたい試験ですが、受験するには以下の受験資格のどちらかを満たしている必要があります。
- GIACの「Security Essentials」コースを修了済み
- 上記の資格と同等の知識と経験を有している
また、GIACは「情報セキュリティ分野での実務経験」も受験時の推奨資格として挙げていますので、これらの資格や経験を有さない場合は受験を控えた方がいいかもしれません。
費用:プラクティショナー認証 949ドル(約14o,ooo円)、アプライドナレッジ認証 1,299ドル(約192,000円)
4. CISSP認定試験
GIAC認定試験と同じく、CISSP(Certified Information Systems Security Professional)も高度な認証試験のひとつです。ISC2という機関が提供しており、サイバーセキュリティシステムを効果的に構築し管理する能力が問われます。
取得するための条件がやや厳しく、少なくとも2つのサイバーセキュリティ分野で合計5年以上の有給の実務経験が必要です。分野一覧は以下のとおりです。
- セキュリティとリスク管理
- 資産のセキュリティ
- セキュリティアーキテクチャとエンジニアリング
- 通信とネットワークセキュリティ
- アイデンティティおよびアクセス管理
- セキュリティ評価とテスト
- セキュリティオペレーション
- ソフトウェア開発セキュリティ
コンピュータサイエンスの学位やISC2が承認する資格を有する場合、それぞれ1年分の経験としてカウントされる仕組みもあります。実務経験が必須事項ですが、パートタイムやインターンシップも実務経験に数えられるとしています。
費用:749ドル(約110,000円)
5. CISA認定
CISA(Certified Information Systems Auditor)認定は、セキュリティオフィサーとして企業にアドバイスを提供する能力を証明するものです。ISACAという機関が提供しており、次の3点を効果的に実施する能力が問われます。
- 脆弱性の評価
- セキュリティシステムの設計と展開
- コンプライアンス状況の評価と報告
エンジニアから監査役にステップアップしたい方や、認定を取得して転職を可能にしたい方におすすめです。
受験には情報セキュリティ監査、コントロール、セキュリティ、コンプライアンスの分野で5年以上の経験が必要ですが、関連する学位を有している場合は3年に短縮されます。
費用:会員575ドル(約85,000円)、非会員760ドル(約112,000円)
6. CEH(認定ホワイトハッカー)資格
EC-Councilが提供するCEH(認定ホワイトハッカー)資格は、ハッキングの検出やハッキング防止に関する能力を証明するものです。合格には最新のハッキング手法や技術に関する知識が必須となり、合法的に会社のネットワークに侵入して脆弱性を特定する能力が問われます。
受験には公式のトレーニングに参加するか、情報セキュリティにおいて2年以上の経験が必要です。より高度な認証試験もあり、実践的な知識を習得または証明したい方におすすめです。
費用:950ドル(約140,000円)?1,119ドル(約165,000円)
7. CISM認証
ランキングの冒頭で紹介したISACAは、CISM(Certified Information Security Manager)認証という資格も提供しています。リスク評価、ガバナンス、インシデント対応の能力が問われ、一般的に高度な認証試験のひとつとして認識されています。
すでにサイバーセキュリティの専門家として活躍しており、チームリーダーのポジションに進みたい方におすすめです。他の認証試験と同様、受験には5年以上の実務経験が必須ですが、他の認証や修士号を持っている場合は免除される場合もあります。
費用:会員575ドル(約85,000円)、非会員760ドル(約112,000円)
8. SSCP認定試験
SSCP(System Security Certified Practitioner)認定試験は、ISC2が提供する中級のセキュリティ資格です。安全なITインフラストラクチャを実装し、効果的に管理する能力が問われます。
合格には、セキュリティオペレーション、アクセスコントロール、リスクの識別、暗号化などの広範囲にわたる知識が必要です。ITのプロとして企業のセキュリティシステムを実践的に管理してきた方は検討できるでしょう。
高度な認証試験に比べて、受験基準が緩めなのもポイントです。サイバーセキュリティの実務経験がない方でも、関連する学士号または修士号があれば試験に臨むことができます。
費用:249ドル(約36,000円)
9. CompTIA Advanced Security Practitioner
CompTIAのAdvanced Security Practitioner認証は、中堅のセキュリティエンジニアにおすすめの資格です。これからマネージャーを目指す場合に最適で、サイバー攻撃から身を守るための解決策を設計?管理する能力が問われます。
試験ではセキュリティアーキテクチャからコンプライアンスまで、幅広い内容が出題されます。受験のための必須条件はありませんが、ITの実務経験が10年以上(そのうち、セキュリティに関する経験が5年以上)ある方を対象としています。
費用:494ドル(約73,000円)
10. GCIH資格試験
GCIH(GIAC Certified Incident Handler)資格試験は、サイバーセキュリティのインシデント識別と対応に関する能力が問われる試験です。インシデント対応に従事する方におすすめで、サイバー攻撃に対する初動対応ができることを証明することができます。
インシデント対応だけでなく、コンピュータ犯罪捜査やハッカーが用いるツールに関する知識が問われます。受験のための条件がないため比較的簡単に申し込みできますが、費用がやや高めなのがネックになるかもしれません。
費用:949ドル(約140,000円)
サイバーセキュリティ認証試験を利用して、キャリアアップに役立てましょう
サイバーセキュリティ認証は、努力と才能の結晶とも言えます。自身の専門分野に合った認証を選択しないと意味がないため、受験時には出題範囲を必ず確認しておくようにしましょう。
晴れて合格となった場合、取得した認証をキャリアアップや転職などに活かすことができます。顧客や上司などに自分の能力を効果的に伝えることもできるため、スキルや実績を認めてもらいたい方はぜひ挑戦してみてください。